前回は、世界中のトレーダーにとって重要視されているダウ理論のご紹介と、ダウ理論に対する個人的な捉え方、そして再現性の曖昧さの部分に触れました。
今回は、「ある程度の再現性の秘密」について書こうと思います。
「秘密」なんて、敢えて大袈裟な表現をしましたが、最初に種明かしをすると、当たり前の話で秘密でも何でもありません。
そう言うと元も子もないのですが、当たり前のことが盲点になってしまうのは良くある話です。
人により考え方は様々なので、全ての人とは言いませんが、勝ち方を把握しているトレーダーであれば多分理解していることだと思います。
そして、当たり前のことに気付くことが意外に難しく、その結果とんでもない遠回りをしてしまうのが、トレードを困難なものにしている最大の要因だったりします。
また、そのことに気付いてから実際の思考や行動につながり、継続したトレード結果に結びつくまでの道のりは人によるので、数か月かもしれないし、数年かかるかもしれません。
ということで、「ある程度の再現性の秘密」の種明かしをします。
まず、基本的な考え方としては「相場における不確実性の排除」が軸になります。
前回も書きましたが、大前提として「世界中の誰一人として相場全体を通して認識できる人はいない」ということがあります。
トレーダーにはテクニカル派やファンダメンタルズ派など様々なタイプがいますが、ある程度相場に慣れてくると、それぞれのスタイルでその後の流れのシナリオがざっくりと見えてくるようになります。
見えてくると言っても、常に見えている訳ではなく、「何となくいくつかのシナリオのパターンが見えてくる時がある」という感じが多いんじゃないかと思います。。
相場には、その時々それぞれの状況で、大小様々な「流れ」「節目」があります。
どの流れや節目を見ているのか、というのは人により違うのですが、いろいろな人がそれぞれの規模感で相場の流れや節目を見ています。
「今の流れだと、多分このあたりの節目までは流れが続くだろうな」というイメージです。
ただ、大体の目的地が見えたとしても、そこに到達するまでの詳細な動きについては誰にも明確には分かりません。
そこに不確実性が存在します。
ただ、この不確実性の部分についても、全く意味不明で分からない、ということではありません。
話は少しずれますが、例えば特に自然相手の仕事やスポーツなどが分かりやすいと思うのですが、漁(猟)師にしろ、サーフィンにしろ、パラグライダーにしろ、自然環境という不確実性の代表のような土俵の上でやることになります。
では何でも運任せなのか?というと、そんなことはありませんよね。
不確実性の中で、それぞれのプレイヤーの眼を通して垣間見ることのできる規則性だったり法則性だったり、そうした瞬間を知識や経験値を元に判断して、「それぞれの器(力量)の中で」結果に繋げていく作業です。
例えば極端な話、台風の日に漁師が海に出ることはないでしょう。
風向きが悪い時にパラグライダーで飛ぶ人もいないと思います。
また、ある程度条件の揃った日だとしても、サーファーたちは波を選んで波待ちしています。
僕らトレーダーのやっていることも、本質的にはそうした作業とまったく同じことだと言えます。
迷うまでもなく明らかにトレードに不向きな相場もありますし、ある程度条件が揃っていても、その上で自分に乗れそうな波を待つことになります。
再現性について話を戻すと、例えば相場全体を「100」とした時に、再現性の割合が「5」だとします。
パーセンテージで表現すれば、その再現性は5%です。
この割合は、多くの人にとっては「ある程度」というよりも「僅か」と表現した方がしっくりくる割合だと思います。
再現性が5%なのであれば、機械的に捉えると勝率5%の考え方ということになり、これなら僕はやらないです。。
では次に、ちょっと違った角度から考えてみたいと思います。
「ある程度の再現性」の部分、相場全体を「100」とした時に、再現性の割合が「5」という最初の前提条件は同じですが、前提条件を付け加えます。
100のうち再現性以外の部分、つまり ” 100 ” のうち「意味のない ” 95 ” 」を捨ててみてください。
すると何が残るでしょうか。
残るのは、「再現性そのものである ” 5 ” 」です。
再現性を5%にしていた原因は、それ以外の95%の部分なので、そこを捨ててしまえば残るのは再現性そのもの、つまり先ほどまで5%だった再現性は100%に化けることになります。
これは分かりやすくする為の乱暴な理論なので、現実ではきっちり「意味のある ” 5 ” 」「意味のない ” 95 ” 」と完璧に分けることは出来ませんが、分け方を身に付け、「意味のありそうな ” 7 ” 」くらいまで絞り込むことは難しいことではありません。
ここで僕が言っているのは、裁量トレーダーを目指す前提のことで、自動売買や裁量判断を極力排除したシステムトレーダーを目指す場合は、先人の知恵に丸投げした上で、フィルターを加えるなどして確率論的に考えたトレードスタイル構築をするというスタンスは、それはそれであると思います。
裁量トレーダーは、いろいろな〇〇理論や〇〇の法則などを勉強し、それらをそれぞれの好みで使い分けたり組み合わせたりして、その人の知識や経験値というフィルターを通して、不確実性や曖昧さが多くを占める相場全体の中から「意味のなさそうな ” 93 ” 」を切り捨てて「意味のありそうな ” 7 ”」を抽出しているから、結果として再現性がとても高い状況でトレードをしていることになる、というのが種明かしの部分です。
くどくど書いたので、もしかしたら難しいことのように聞こえたかもしれませんが、誰もがこれまでの人生の中で何かしら経験してきていることだと思いますので、仕事やスポーツや趣味など、今の自分にとっては当たり前のことでも過去の自分には出来なかったり、他の人にとっては難しく思われることなどに当てはめて考えてみてください。
継続するという別の問題がありますので、簡単とまで言いませんが、適切な知識と経験を積めば、ある程度のところまでは大抵誰にでも理解し体験できることだと思っています。
タイトルに「ダウ理論」と書いているくせにいつまでたっても本題に辿り着かず、自分でもじれったい感はあるものの、前置きが大事だと思っているので、次は、「トレードは後出しじゃんけん」ということについて書こうと思います。
今後編集して、もっと読みやすい形にするかもですが、とりあえずは、興味のある方だけでもお付き合いいただけたら嬉しいです。